退職した国家公務員が、出身省庁のあっせんで公益法人などへの再就職を繰り返すことをいう俗語。法人から法人へ、高額な退職金を受け取りながら、渡り鳥のように移っていくことから名づけられた。こうした官僚OBの「天下り」に対する批判を受け、2007年6月に国家公務員法が改正され、各省による再就職あっせんの禁止や、公務員の再就職業務は「官民人材交流センター」を設置して一元化することなどが定められた。「渡り」については11年までに全面禁止することになった。しかし、政府は08年12月に、全面禁止までの移行期間は例外的に認める政令を閣議決定した。野党はこれに反発し、政令の撤廃を要求。自民党行政改革推進本部も09年1月、「渡り」のあっせんを容認する政令の見直しを求めたが、麻生太郎首相は見直しや修正の必要はないとの考えを示した。