国家の領海に、他国の船舶などが許可を得ずに侵入すること。領海は海に面している沿岸国が、基線(領海の幅を測る基準となる線)から12カイリ(約22キロ)を超えない範囲で設定した海域で、沿岸国の主権が及ぶ部分をいう。領海の範囲は、歴史的には3カイリとするといった主張もあったが、1982年に採択された国連海洋法条約で12カイリと明記され、現在の国際慣行となっている。領海での主権は、領海の上空、海底および海底の下にまで及び、漁業その他の生物資源の採捕や、海底鉱物資源の採掘に関する独占権を有するが、国際海上交通の観点から、沿岸国は領海内で外国の船舶について無害通航権を認めなければならないとされている。日本では領海侵犯には海上保安庁が対処しているが、状況に応じて自衛隊との協力も行われている。日本の領海周辺では外国船による違法操業が後を絶たず、2010年9月7日には沖縄県の尖閣諸島沖で、領海侵犯を警告した海上保安庁の巡視船に中国漁船が衝突してきた事件が発生。政府はこれを受け、11月8日に外国船舶の領海侵犯などを取り締まる領域警備の強化を急ぐ考えを表明した。