正式名は「琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」といい、「沖縄協定」ともいわれる。第二次世界大戦後、沖縄は日本本土から分離され、引き続きアメリカの占領下に置かれた。佐藤栄作首相は沖縄返還実現を掲げ、1969年11月にニクソン大統領と会談、沖縄の返還に合意した。返還協定は71年6月17日に東京とワシントンで署名され、72年5月15日に効力が発生し、沖縄の本土復帰が実現した。協定は前文と本文9条からなり、沖縄の行政・立法・司法上のすべての権利がアメリカから日本に返還されること、日米間で締結された安全保障条約などが沖縄にも適用されることが規定されたほか、米軍基地の維持、日本側の対米請求権の放棄などについても明記された。この沖縄返還交渉過程で、アメリカ側が負担するはずだった土地原状回復費用400万ドルを、日本が肩代わりするなどとした日米間の密約があったのではないかと指摘されたが、日本政府は一貫して否定し続けてきた。しかし2009年の政権交代に伴い、新政権は密約の解明調査に乗り出し、10年3月9日に外務省の有識者委員会が、「広義の密約」があったと認定する報告書を公表。同月12日には財務省も同様の見解を示した。