原子力の安全規制などを担う新組織。政府が2011年8月15日の閣議で環境省の外局として設置することを決め、「原子力安全規制に関する組織等の改革の基本方針」に明記された。現在、原子力に関する組織は、原子力を規制する原子力安全・保安院が経済産業省に、安全規制の基本方針などを決める原子力安全委員会が内閣府に、放射線量を測定する環境モニタリング機能が文部科学省にそれぞれ置かれているが、原子力安全庁はそれらを統合し、原子力安全規制に関する業務を一元化して機能の向上を図る狙いがある。組織の見直しは東京電力福島第一原子力発電所事故を受けたもので、これにより、経済産業省の中に原発を推進する資源エネルギー庁と、規制する側の原子力安全・保安院が同居している問題が解消されることになる。基本方針では、「事故発生時の初動対応その他の危機管理を原子力安全庁(仮称)の重要な役割と位置づけ、そのための体制整備を行う」とし、原子炉や核燃料物質などの使用に関する安全規制や核セキュリティーへの対応、環境モニタリングの司令塔機能を担うとしている。同庁は12年4月の発足を目指している。