2012年2月14日に閣議決定された「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」によって創設される、国民一人ひとりに対する識別番号制度のこと。「社会保障と税の一体改革」と連動して、社会保障と税に共通の番号を付けることで、給付と負担の公平性と明確性を確保し、利便性を向上し、行政の効率化・スリム化ができるとしている。「マイナンバー」は、親しみやすい名称とするべく一般公募807件の中から選ばれて決められた。マイナンバーは、市町村により住民票コードを変換して定められ、中長期在留者、特別永住者などの外国人住民も対象となるほか、法人などには国税庁から通知される。市町村に申請すると、健康保険証や介護保険証、年金手帳の機能を果たす、顔写真付きの個人番号ICカードが交付される。所得の過少申告や脱税、社会保障の不正受給が防止できるほか、消費税増税に際し、低所得者に対して、医療や介護、保育などの自己負担額の合計に上限を定める「総合合算制度」や、「給付付き税額控除」の導入がしやすくなる。当初の利用範囲は年金、税、防災の3分野で、より重要な個人情報を取り扱う医療、介護分野は、新たな個人情報保護法を整備してからとなる。政府は14年6月の番号交付、15年1月の利用開始を目指しているが、内閣府が11年11月に行った世論調査では、共通番号制度について「知らない」41.5%、「内容は知らないが言葉は聞いたことがある」41.8%と、8割の人が内容を知らなかった。また懸念事項として、「個人情報が漏洩(ろうえい)することによるプライバシー侵害のおそれ」40.5%、「番号や個人情報の不正利用による被害」32.2%と、7割以上の人が個人情報の扱いに関して不安を抱いていた。「国により個人情報が一元化され、管理・監督されるおそれがある」と答えた人も13.0%いた。