法務省が2006年10月に策定した、不法滞在外国人に対する在留特別許可の許否を判断する基準。在留特別許可は、ビザの在留期間が超過しているなど、日本滞在の正規の資格がない外国人について、特別に滞在を認めるもの。出入国管理及び難民認定法(入管法)50条により、許否は法務大臣の裁量に委ねられており、ガイドラインは法相の判断の指針となる。08年に国外退去命令を受けた約4万人のうち、約8500人が在留特別許可を得ているが、ガイドラインに示された許可の基準は、一部を除いて「総合的に判断」「人道的配慮」などと具体性を欠いていることから、あいまいだとして外国人の支援団体などから批判があった。09年7月、法務省は入管法の改正に伴ってガイドラインを改定し、許否の判断に当たって「考慮する事項」の具体例を追加した新ガイドラインの適用を開始した。具体例は、許可に向けて有利になる「積極要素」として、(1)不法滞在外国人の実子が日本で生まれて10年以上在住し、小中高生である場合、(2)滞在期間が約20年以上にわたる場合、(3)入国管理局に自ら出頭した場合、など。旧ガイドラインに比べて実質的に許可の可能性を広げると同時に、(3)により、09年現在で約13万人にのぼるとされる不法滞在外国人の出頭を促す内容とした。また、逆に許可に不利になる「消極要素」として、不法入国の場合や、重大犯罪での処分歴がある場合を挙げている。