自治体の住民情報をデータセンターに集約し、市町村が共同で利用するシステムのこと。クラウドとはクラウドコンピューティングのことで、「雲(クラウド)」に見立てたインターネットに接続された多数のコンピューターを活用し、ネットワークを通じてさまざまなIT(情報技術)サービスを利用する仕組みをいう。データセンターが扱うのは、住民基本台帳や国民健康保険、税金など、自治体が行う基幹業務に関するもので、複数の自治体で共同管理することで行政コストの削減が図れるとして、総務省が2009年度から開発実証事業に取り組んできた。10年7月には全国展開に向けた取り組みを推進するため、総務相を本部長とする「自治体クラウド推進本部」が設置され、北海道、京都府、佐賀県、大分県、宮崎県、徳島県の6道府県78市町村が参加して、先行的に開発実証が行われた。実際に導入するかどうかは各自治体の判断に委ねられ、管理・運営の方法も異なる。東日本大震災で役場のサーバーが被災し、住民票発行などの業務に支障が出たところがあったことから、自治体クラウド導入を決定する自治体が増えているが、データがどこでどのように管理されているか、住民への説明をどうするかといった課題も残る。