菅直人首相が提唱する新たな経済政策。高度成長期の公共事業を中心とした手法を「第一の道」、行き過ぎた市場原理主義に基づいた手法を「第二の道」ととらえ、そのいずれでもない路線を追求しようとするもの。菅首相は就任後初の2010年6月11日の所信表明演説で、産業や社会構造の変化に合わない政策を遂行した結果、経済は低迷し続け、雇用不安や格差拡大を生み、デフレを深刻化させたと指摘。こうした過去の失敗に学び、現在の状況に適した政策として、「強い経済、強い財政、強い社会保障」の一体的実現に取り組む「第三の道」を歩むとの決意を表明した。具体策としては、地球温暖化対策などの環境や、医療や介護などの健康分野をはじめ、アジアでのインフラ整備、観光や地域活性化などに重点投資し、新たな需要や雇用を創出して、経済成長につなげるとしている。なお、国際政治で第三の道といえば、一般に1990年代後半にヨーロッパで始まった、旧来型の社会主義でもなく、新自由主義でもない中道左派路線を指す。