国の基準では認定されない水俣病の被害者を救済する法律。「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」が正式名称。2009年7月8日に成立、15日に施行された。水俣病は有機水銀を含む工場排水が原因の公害病で、1956年に国が被害を公式に確認。公害健康被害補償法の対象外とされた「未認定患者」に対しては、95年に一時金を支給するなどの救済策を「政治解決」で決定した。しかし、2004年に最高裁判所が国の認定基準より広く健康被害を認めたことから、追加提訴する人が続出、今回の救済法に結びついた。同法は、前文で「水俣病の被害の拡大を防止できなかったことについて、政府としてその責任を認め、おわびをしなければならない」と明記。救済対象となる症状は、手や足先がしびれる四肢末梢(まっしょう)優位の感覚障害に、全身性の感覚障害、口の周りの感覚障害、舌先の2点を識別する感覚障害、求心性視野狭窄(きょうさく)を加えた。一時金の支給額などは、原因企業のチッソと被害者団体との交渉で別途定めるとしている。