EU(欧州連合)の最高意思決定機関である欧州理事会で議長を務めるほか、EUの「顔」としてサミットなどの国際会議に出席する役割を担うポスト。EUの新たな基本条約、リスボン条約に設置の規定があり、2009年12月1日の同条約の発効に伴って創設された。任期は2年半だが、1回に限り再任が可能。選出には全加盟国政府の承認が必要で、各国の首脳職との兼務はできない。欧州理事会は、EU加盟国の代表で構成される合議機関で、従来は半年を任期として、各国が持ち回りで議長を務めていた。しかし、加盟国の増加が予想される中で、意思決定の効率化や、政策の継続性が求められるようになったことから、専任者の設置が図られることになった。アメリカなどの大統領とは異なり、大きな権限は付与されないが、理事会での議題の設定などを行うことから、政策の方向性に一定の影響力を持つとされる。ただし、EUの行政機関である欧州委員会の委員長が、すでに国際会議に出席していることなどから、他のポストとの役割分担が不明確との声もある。リスボン条約の発効に先立つ09年11月に開催された非公式欧州理事会は、初代のEU大統領にベルギーのヘルマン・ファンロンパウ(Herman van Rompuy)首相を選出。リスボン条約の規定で同時期に創設のEU外相(EU外務・安全保障上級代表)には、イギリス人で欧州委員会委員のキャサリン・アシュトン(Catherine Ashton)を選出した。EU外相は、2010年発足のEU対外活動庁の責任者と欧州委員会の副代表を兼務する。