2012年11月18日、カンボジアのプノンペンで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で採択された域内初の人権宣言。欧米諸国に比べると人権意識が低いとされてきたASEAN では、人権の尊重などを盛り込んだASEAN憲章が08年に発効したことを受けて、09年に政府間人権委員会(AICHR)が発足。11年からAICHRが作業部会を立ち上げ、草案作りを行っていた。人権宣言は、全40カ条で、(1)基本原則、(2)市民的・政治的権利、(3)経済的・社会的・文化的権利、(4)発展の権利、(5)平和の権利などから成る。個人の尊厳や職業選択の自由などが盛り込まれている一方、ASEANでは内政不干渉を原則としているため、同宣言には罰則規定がない。また、労働組合の活動などは、各国の法律等に基づくとされるなど、地域や国家、異なる文化や歴史的な背景によって人権が制限される条項も含まれている。