アイスランドの首都レイキャビクの南東約120kmにある、エイヤフィヤトラ氷河の火山で2010年4月15日に起きた噴火。3月21日未明、1821年以来2世紀ぶりに噴火していたが、15日朝の大規模な噴火で、大量の火山灰が風に乗ってヨーロッパ全域に広がった。噴き出した火山灰は最初の72時間で1億4000万立方kmと分析されている。アイスランドは、地球のプレートの境目である中央海嶺(かいれい)が海上に出ている火山島で、日本のように陸上の火口から噴火するのではなく、氷河などの割れ目から噴火する。そのためマグマが氷河に触れて水蒸気爆発を起こし、より多くの噴煙や粉じんが発生する。今回、火山灰が上昇気流に乗って航空機の飛行高度である地表約6000~1万2000mにまで達し、エンジン停止や機器の故障の可能性があったため、ヨーロッパの広範な地域で飛行制限が行われた。4月22日に正常化するまでに、ヨーロッパの30カ国以上で数日間、空港が閉鎖。10万便以上が欠航し、600万~700万人の旅客が各地で足止めされたほか、部品の流通が滞ったため一部の工場で操業が停止するなど、航空、観光に限らず大きな影響が出た。国際航空運送協会(IATA)によれば、今回の運航禁止により、2001年のアメリカ同時多発テロ時を上回る17億ドル(約1580億円)の損失が出たという。