海外で大規模な災害が発生した際に派遣される国際緊急援助隊(Japan Disaster Relief Team ; JDR)を構成するチームの一つで、現地での医療行為に従事するチーム。JDRには、他に救助チーム、専門家チームがあり、さらに必要に応じて派遣される自衛隊部隊を加えての計4チームに分かれている。派遣は被災国などの要請を受けて外務省が決定し、国際協力機構(JICA)が実施する。医療チームは、平時から個人の意思でJMTDR(Japan Medical Team for Disaster Relief)に登録している医療関係者を中心に編成され、被災者の診療、医療機関への助言、疾病の感染予防といった活動を行う。4チームの中で最も歴史が長く、1982年に設立された際は国際救急医療チーム(JMTDR)と称していた。87年の「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」施行によってJDR医療チームに位置付けられ、名称および英語表記が変更されてからは、JDR医療チームの登録母体を指してJMTDRと呼ぶようになった。設立から30年以上を経た2013年1月時点での登録者は1000人を超える。1984年のエチオピア干ばつから2010年のハイチ地震まで、多くの災害に計60チーム、延べ人数900人以上が派遣されてきた。また、多くの登録者は、1995年の阪神・淡路大震災、2011年の東日本大震災など国内の災害の際も、豊富な経験を生かして被災地での医療支援に貢献している。