正式名称は、海洋航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約(海洋航行不法行為防止条約)。航行する船舶に対する奪取や破壊などのシージャック(海賊行為)やテロ行為について、犯人の処罰や引き渡しを定めたもの。国際連合の国際海事機関により1992年に発効し、日本は98年に加入した。シージャックやテロ行為が発生した場合、締約国には、犯人(容疑者)を関係国に引き渡すか、自国で事件を当局に付託することが義務付けられている。2005年には、反テロ対策の一環として改正され、大量破壊兵器などの輸送も対象となった。07年2月に南極海を航行中だった日本の調査捕鯨船が、環境保護団体「シー・シェパード」による妨害行為で航行不能になった事件では、08年8月に警視庁公安部が、アメリカ国籍のメンバーらの行為をテロ行為と認定して、威力業務妨害容疑で逮捕状を取得。日本では初めての同条約の適用となった。