トリニダード・トバゴで2009年4月18日に開催された米州機構(OAS Organization of American States)首脳会談(米州サミット)で、ベネズエラのウーゴ・チャベス大統領がアメリカのバラク・オバマ大統領にプレゼントした本。ウルグアイ人のジャーナリスト、エドゥアルド・ガレアーノが著した、欧米先進国の植民地支配による収奪という視点で描かれた中南米諸国の歴史書で、原題は「Las Venas Abiertas de America Latina」。1971年に出版され、日本語版は藤原書店などから出版されている。チャベスによるプレゼントが報道された後に、アメリカのインターネット書籍販売サイトamazon.comで、スペイン語版の売り上げ順位が5万位台から2位にジャンプアップするなど、大きな注目を集めた。チャベスはブッシュ前アメリカ大統領を国連総会での演説で“悪魔”に例えるなど、反米的な発言で知られる中南米の代表的な左派指導者。会談の始まる前に、オバマと初対面したチャベスは、がっちり握手を交わし、友達になりたいと発言したという。首脳会談終了後、帰国したオバマはチャベスと握手したことを共和党の政治家らに批判されたが、国防予算がアメリカの600分の1程度であるベネズエラの指導者と握手したことが、アメリカの戦略的利益を脅かすとは思えないと反論した。