セルビア共和国のコソボ自治州が、2008年2月17日、特別議会で独立を宣言。国際的に承認されれば、社会主義連邦国家だった旧ユーゴスラビアで、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、マケドニア、モンテネグロに続く、7番目の独立国となる。コソボでは長年、アルバニア系住民とセルビア系住民が、対立しながらも共存してきたが、1998年2月のアルバニア系組織の独立要求とテロを端緒に、政治的対立と武力衝突が激化し、100万人近い難民と多数の死者が出る内戦となった。翌99年3月、北大西洋条約機構(NATO)によるセルビア地域への空爆を経て停戦に至り、その後は国連コソボ暫定統治機構(UNMIK)の統治下に置かれてきた。2005年10月からは、国連安全保障理事会(安保理)の決定を受け、独立に関するセルビアとの仲介が、国連やアメリカ、ロシア、EU(欧州連合)により続けられたが、不調に終わっていた。
コソボは面積約1万900平方km(岐阜県とほぼ同じ)、人口約190万人、中心都市はプリシュティナ、住民の90%近くがアルバニア系で、1人当たりGDP(国内総生産)は推定1400ドルと貧しい。
中世セルビア王国とセルビア正教会の中心地であったコソボは、セルビア民族にとっても、大変重要な地で、独立宣言を受け、セルビアのタディッチ大統領は、安保理の特別協議で国際法違反として強く非難。セルビアの首都ベオグラードでは、反対派による暴動が発生し、21日には独立を容認したアメリカの大使館が放火されたほか、トルコ、ドイツ、ボスニア・ヘルツェゴビナなどの大使館も襲撃された。