中国四川省にある7カ所の世界遺産のうち、2008年5月12日に発生した四川大地震による深刻な被害があり、今後二次災害なども懸念される2カ所。震源地に近い都江堰は、長江の支流岷江(みんこう)にある中国最古の水利施設で、00年に世界文化遺産に登録された。紀元前256年の着工で、水路や人工中州などからなり、岷江の氾濫を抑える一方、成都平原を灌漑(かんがい)で潤し、この地方に豊かな農産物と水運をもたらしてきた。5月14日、人工中州の上流部に亀裂が入っていたことが判明。上流の紫坪鋪ダムにも多数の亀裂が見つかり、決壊の危険がある。一方の九寨溝は、神秘的なエメラルドグリーンの湖や、滝、渓流などを数多く擁し、年間約200万人が訪れる景勝地で、ジャイアントパンダやキンシコウ(金糸猴)の生息地としても知られ、1992年に世界自然遺産に登録された。こちらも各所で山崩れや土石流、地面の陥没などが起こり、避難途中の旅行客52人が死亡。観光地区の管理事務所は「景観は無事」というが、19日、当局は観光客全員を退去させ、観光地区を閉鎖した。