1組の夫婦につき子ども一人までを原則とする中国の計画出産制度の通称。中国では急激な人口増加を抑制するため、「晩婚」「晩産」「少生」(少なく産む)「稀」(出産の間隔をあける)「優性」(子どもの質を高める)を柱とした計画出産政策が、1970年代末から国策として実施された。82年に改正された憲法では、政府が計画出産を推進すること、また夫婦は計画出産の義務を負うことが明記された。具体的な賞罰などは、地区ごとの計画出産条例によって定められている。一人っ子の夫婦には、奨励金や養育費補助などの優遇措置が与えられる。二人以上の超過出産の場合には、賃金の減給や罰金となる。ただし、少数民族や農村部では、第1子が女子の場合など、条件付きで第2子の出産が認められることもある。都市部でも夫婦同士が一人っ子の場合には、第2子の出産が認められるなど、地域ごとの実情に応じた例外規定がある。30年間で4億人ほど出生数を減らすなど人口増加を抑制した一方、中絶の増加や社会の急速な高齢化などの問題点も指摘されている。