アメリカ連邦議会の上院と下院に設置された各委員会、各小委員会が、法案の審議などに際して情報収集を行う制度。関係者や専門家に意見を聴くもので、大統領や閣僚が本会議に出席しないアメリカでは、政府が議員に意見を表明する唯一の機会として重要視されている。また、新閣僚などの就任に際しては、上院の委員会による指名承認公聴会の開催が定められている。政府を監督するための調査の場としても位置づけられ、政治的な案件に加えて、国民的な関心事が取り上げられることも少なくない。国家機密に関する案件以外は公開が原則で、質疑の内容は提出された資料を含めて刊行されるため、ベトナム戦争やウォーターゲート事件など、公聴会での証言をきっかけに世論が形成された例も多い。1976年の上院多国籍企業小委員会における公聴会では、ロッキード社の幹部の証言から、日本への旅客機の売り込みに多額の賄賂(わいろ)が使われたことが明らかになり、田中角栄元首相の逮捕につながった。出席を拒む参考人には、強制力のある召喚状が出される場合もあるほか、委員会は参考人に対して真実を述べるよう宣誓させることができる。参考人は自らに不利な証言を拒むことができるが、偽証が発覚すれば、最高で禁固5年の刑を科される可能性がある。2010年2月には、トヨタ自動車の豊田章男社長が、リコール問題で下院監督・政府改革委員会の公聴会に招致され注目を集めた。