中華人民共和国の法執行機関のもとで、海上権益や漁業などの監視を行う公船。中国には海警、海監、漁政、海巡、海関という5つの海上法執行機関があり、それぞれ機関名を冠した監視船を所有している。「海監」は、国土資源部国家海洋局の中国海監総隊に所属する監視船。主な任務は領海や排他的経済水域(EEZ)などでの海洋権益の侵犯、海洋資源や環境を損なう違法行為の監視と排除で、1998年に成立した。戦時には中国海軍に編入される。かつては軍の老朽艦を利用していたが、近年は大型船化が進み、防衛省防衛研究所の「中国安全保障レポート2011」によれば、総数約280隻のうち1000トン超の大型船が27隻ある。また、15年までには大型船36隻が新たに配備されるという。「漁政」は農業部漁業局に所属する漁業監視船で、漁業の規制、監督と外国漁船の監視が任務。インドネシアやベトナム、フィリピンと領海を接する南シナ海で、1997年から権益擁護活動を行ってきた。海軍の潜水艦救難艇を改装した漁政311、ヘリコプターも搭載可能な武装船の漁政310など約140隻を数える。2012年には尖閣諸島の領有問題に絡み、日本政府への対抗措置として、魚釣島周辺など日本の経済水域にたびたび出没している。