八重山諸島の北方約150キロにある沖縄県石垣市の尖閣諸島を国の所有とすること。すでに国が所有している大正島を除き、魚釣島、北小島、南小島の3島と久場(くば)島は、それぞれ別の民間人が所有していた。2012年4月、石原慎太郎東京都知事が同諸島のうち魚釣島、北小島、南小島の購入計画を発表。地権者との交渉や寄付金口座開設など、具体的な動きを起こしたことから、同年7月7日に野田佳彦首相が、「平穏かつ安定的に維持・管理」するためとして、国有化の方針を表明した。同諸島は、1895年日本が無主地であることを確認したうえで領有権を宣言。1952年のサンフランシスコ平和条約で日本の旧植民地を返還した際にも放棄の対象とはならず、72年の沖縄返還後現在に至るまで実効支配を続けてきた。しかし、60年代後半、同海域に豊かな石油資源埋蔵の可能性が示されると、71年に中国と台湾が相次いで領有権を主張。その後中国との間では、78年の日中平和条約締結の際、トウ小平副首相(当時)による「棚上げ論」が示され、日本もこれに同意したが、92年中国は自国領海法で一方的に領有を明記。日本側の抗議も聞き入れず、調査船や台湾、香港を含む活動家らの領海侵犯や上陸などが続発するようになった。一方、日本でも民族派団体や国会議員などが上陸や灯台設置を試みるなどしたため、2002年4月以降、政府は魚釣島など3島を借り上げていた。12年9月10日、政府が国有化を正式に閣議決定すると、連日中国各地で反日デモが勃発。大使館や総領事館、日本企業などへの破壊行為や、放火、略奪なども横行した。特に満州事変の発端となった1931年の柳条湖事件から81年目を迎えた9月18日には、全国百カ所以上の都市に広がった。