ポルトガルのリスボンで2007年10月に採択された、EU(欧州連合)の新たな基本条約。経済分野での統合を先行させたEUが、政治分野の統合を加速させることを目的とする。(1)EU大統領、EU外相(外務・安全保障上級代表)の創設、(2)特定分野での政策決定を全会一致から多数決に、などにより、政策の継続性の確保や、政策策定の迅速化を図る。また、27カ国を上限とする加盟国数の規定の撤廃により、新規加盟交渉の進展が予想される。07年12月の署名後、各国で批准手続きを開始し、09年の発効を目指す。発効には全加盟国の批准が必要だが、EUでは、04年に採択した同趣旨の「EU憲法条約」が、フランス、オランダの国民投票で否決され、発効に至らなかった経緯がある。このため「リスボン条約」では、「EU憲法条約」を下敷きにしつつ、EUの権限拡大への警戒感に配慮して、統一の国旗、国歌を策定する条項などが削除された。批准手続きも、多くの国で国民投票を避け、議会のみで進められる予定。なお、「リスボン条約」の名称は、07年6月の草案合意時の「改革条約」を、採択を機に変更したもの。