富裕層の税率が中間所得層の税率を下回ることは不公平であるとして、アメリカのオバマ大統領が打ち出した課税強化案のこと。著名投資家で世界屈指の資産家でもあるウォーレン・バフェットが、自身を含む富裕層への課税強化を持論としていることにちなむ。アメリカの最富裕層には、株式の配当や値上がり益(キャピタルゲイン)で収入を得ている人が多いが、キャピタルゲインには15%の優遇税率が適用されているため、給与所得を主とする中間層の税率を下回るという逆転現象が生じる状況となっている。2010年度の数字で、所得中位20%の中間層の実効税率は平均16%。バフェットは、ニューヨーク・タイムズ紙への寄稿などを通じて、自らの10年度の所得税率が自分の秘書よりも低い17.4%であったことを明かした上で、高額所得者は相応の税金を負担する義務があると訴えている。オバマ大統領は、年収100万ドル(約8000万円)以上の富裕層の所得税率を30%に引き上げる法案を連邦議会に提出したが、12年4月16日に行われた上院での採決で、共和党の反対により否決された。共和党は、キャピタルゲイン税の引き上げは起業意欲を損ない、アメリカ経済に悪影響が及ぶとしている。これに対しオバマ大統領は、法案否決後も税制改正への姿勢を崩しておらず、12年11月の大統領選挙に向けて共和党への攻撃材料になるものとみられる。