ヨーロッパ全域における航空管制機関の通称で、ヨーロッパでの航空機や空港の運航の調整を行っている。欧州連合(EU)加盟国のほか、バルカン諸国やウクライナなど38カ国で構成される。本部をベルギーの首都ブリュッセルに置き、フランスやハンガリーなどの7カ所に事務所がある。1960年にイギリス、フランス、西ドイツ(当時)、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの6カ国で発足し、その後、参加国が拡大した。役割は各国間の調整にとどまり、法的な権限はもっていない。2010年4月14日、アイスランド南部のエイヤフィヤトラ氷河の火山で大規模な噴火が発生。火山灰が上空に運ばれ大量に浮遊したため、一時は28カ国の空港が閉鎖され、10万便以上が欠航となった。同月22日、ユーロコントロールは、ほぼすべての運航が正常化したと発表。この間のヨーロッパ航空業界の損失は17億ドル(約1580億円)にのぼったとされる。こうした混乱を受け、翌23日、EU議長国であるスペインの運輸相が、ユーロコントロールの権限拡大を柱とするヨーロッパの航空管制の一元化を目指す方針を発表した。