アフリカの紛争地帯で採掘される鉱物資源。コンフリクト・ミネラル、コンフリクト・メタルとも。具体的には、中央アフリカのコンゴ民主共和国と、その周辺9カ国で産出されるタンタル、タングステン、スズ、金の4鉱物、およびこれを原料とする金属材料を指す。世界有数の鉱物資源国であるコンゴでは、1990年代に政府と反政府勢力の対立が激化、これに周辺諸国が介入して紛争となった。停戦後の現在も、同国東部などでは武力衝突が続く。鉱業とその流通による収益が反政府勢力の資金源になっていることから、アメリカでは2010年7月、上記4鉱物を「紛争鉱物」と定義したうえで、企業に対してその使用実態の把握、報告の義務を課す条項を盛り込んだ金融規制改革法(ドッド・フランク法)が成立した。同法に罰則はないが、間接的に紛争鉱物の使用抑制を促している。12年8月には、同法に基づいてアメリカ証券取引委員会(SEC)が紛争鉱物の含有に関する情報開示ルールを策定。使用実態の調査はサプライチェーン(材料の供給網)をさかのぼって行われるため、アメリカで上場していない多くの日本企業も対応を迫られることになる。