ペルー南部のイカ県にあるナスカ台地周辺に描かれた地上絵群。数多くの直線や幾何学的な模様が広範に描かれ、サルや鳥、クモなどの動物や、木や花、海草などの植物を描いたものもある。すべて含めて約1000点以上確認されているが、制作目的は明らかになっていない。紀元前500年~紀元後500年のあいだに制作され、多くはナスカ期(紀元前200年~紀元後600年)のものとされる。小石の敷きつまった乾燥土に、浅い溝を掘りつけた線などによって描かれている。100メートルを超える巨大な動物の絵もあり、最長で285メートルにおよぶ。また幾何学図形では、全長数キロにもおよび、飛行機に乗って上空から眺めることで図像の全体を確認することができる。1939年に発見され、94年には世界遺産に登録された。2011年1月18日、現地調査をしていた山形大学の坂井正人人文学部教授ら研究チームは、人間の頭部と動物の形をした2点の絵を新たに発見したと発表。いずれも台地に広がる黒い石を取り除くことによって描かれた黒色の地上絵で、人間の頭部は、縦約4.2メートル、横約3.1メートル、動物らしき絵は、縦約2.7メートル、横約6.9メートル。ナスカ期前期かそれ以前のものと推測されている。