中国政府が2009年7月1日より国内で販売されるパソコンに搭載を義務付けたフィルタリング・ソフト。中国名は「緑覇‐花季護航(りょくば‐かきごこう)」で、「若者を守る緑のダム」の意。ポルノなどの「有害サイト」を自動的に検知し、接続を遮断。またユーザーが検索したサイトや接続時間なども記録されるという。中国工業情報化省が、同年5月19日付で内外の各パソコンメーカーに通知。6月9日には、「人民日報」などのメディアを通じ、一般にも周知した。しかし名目は「青少年の保護」だが、「有害」の定義はあいまいで、中国情勢の専門家や研究者らは、国家機密漏洩(ろうえい)や政府批判などを取り締まる言論統制に使われる可能性を指摘。アメリカ国務省も同月22日、中国政府に対し公式に「懸念」を伝えた。一方で、アメリカのソフトメーカーが、同ソフトは「自社の開発コードを盗用している」と主張。6月19日までにヒューレット・パッカード、デル、ソニーなどのパソコンメーカーに出荷差し止めを要請したほか、日系メーカーからも、検証期間の短さから、搭載後の「パソコン全体の品質を保証できない」と、困惑の声が上がった。また6月24日にはアメリカのロック商務長官とカーク通商代表部代表が中国商務部などに、続いて26日には日米欧とカナダの経済団体が共同で中国の温家宝首相宛に、それぞれ搭載義務の撤回を求める書簡を送った。こうした情勢を受け、結局中国政府は7月1日、同ソフトの搭載義務付け延期を発表した。