2009年4月5日、アメリカのオバマ大統領がチェコの首都プラハで行った演説で発表した構想。アメリカには、核兵器を使用した唯一の核保有国として核廃絶に向けて行動する「道義的責任」がある、として「核兵器のない世界の平和と安全を追求する」活動の先頭に立つことを表明。核軍縮、核不拡散体制の強化、核テロ阻止の三つを柱としており、具体的には、核軍縮については戦略兵器削減条約(START)の後継条約実現に向けたロシアとの合意の09年内実現と、アメリカによる包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准など。核不拡散体制の強化については、核不拡散条約(NPT)の強化など。核テロ阻止については、世界の核物質の安全な管理体制を4年以内に確立することなどを掲げている。同年9月24日、国連安全保障理事会は、オバマ大統領の提案で核不拡散と核軍縮についての首脳級会合を開催。「核なき世界」を目指す決議を全会一致で可決した。決議は、核兵器のない世界に向けた条件を構築するため、すべての国によるCTBTの署名・批准やNPTへの加盟を促し、非核兵器地帯の設立を歓迎するとともに、北朝鮮とイランの核開発停止を求めた過去の安保理決議を再確認するなどの内容。10年3月には、アメリカの主催で核の安全な管理について議論する核安全保障サミットが開かれる予定。