国家間の外交関係や外交特権に関する基本的な国際条約。国連の国際法委員会による主導の下、旧来の国際慣習法を法典化したもので、1961年にオーストリアで開かれたウィーン会議において採択され、64年に発効した。日本は64年に批准。2012年6月現在、締約国は187カ国。外交特権は、国を代表する外交官が接受国(赴任先の国)で任務を円滑に果たせるようにするための特別な権利と免除のことで、不可侵権と治外法権に大別される。不可侵権は外交官と在外公館、およびその所有物などを対象とし、外交官は身体の不可侵を保証されるため、どのような場合にも逮捕など身体の拘束を免れる。また、治外法権によって、外交官は接受国の刑事裁判権、民事裁判権、行政裁判権からも免除される。ただし、接受国側は、犯罪行為などの理由で自国にとって好ましくない人物(ペルソナ・ノン・グラータ)と判断した場合、その外交官を本国へ退去させることができる。