人が自由に往来できるヨーロッパを目指して、国境や空港での出入国審査を廃止する協定。1985年、ルクセンブルクのシェンゲンで、フランス、西ドイツ(当時)、ベルギーなど5カ国が締結し、95年にスペインとポルトガルが参加して発効した。その後、EU(欧州連合)加盟国以外のノルウェーなども加えて15カ国に増えた。2007年12月21日、旧東欧諸国のポーランド、ハンガリー、チェコなど9カ国が新規加盟。陸路と海路では、審査なしで国境を越えられるようになった(空路では08年3月末から)。これにより、外国人旅行者であっても、いったん入れば旅券の提示が不要となる、往来自由な「シェンゲン圏」が拡大した。同圏の面積は約360万平方km、人口は約4億人となる。移動の自由が保障される一方、犯罪者の流入や不法移民などに対する懸念も強く、EU加盟国でもイギリス、アイルランドなどは加盟していない。