イギリス対外情報局秘密情報部(SIS Secret Intelligence Service)の通称。外務省に属し、海外での情報収集や工作活動を行う。前身は軍事情報部第6課で、軍事情報部第5課(MI5。のちに情報局保安部となる)と同じく1909年に発足した。スパイ映画「007」シリーズの主人公ジェームズ・ボンドが所属する組織として知られている。90年代前半までは存在自体が公にされていなかったが、2005年10月に独自のホームページを開設したり、2006年4月に工作員の募集広告を新聞に掲載したりと、近年、徐々に情報が公開されている。10年9月にはMI6の正史をまとめた本が初めて出版された。著者はクイーンズ大学のキース・ジェフリー教授(歴史学)で、ジョン・スカーレット前長官の委託により、1909年の創設から冷戦初期の49年まで、40年間分におよぶ極秘文書の閲覧を許可された。MI6のスパイ活動が全810ページにわたって詳細に解説されている。「007」の原作者イアン・フレミングの友人がジェームズ・ボンドのモデルとなったことや、「月と六ペンス」などで知られる作家のサマセット・モームや、映画「第三の男」の原作者グレアム・グリーン、児童文学者アーサー・ランサムがMI6のスパイであったことも初めて確認された。