「グローバルトレンド2025:変貌する世界」というタイトルの、2025年の世界情勢を予測した報告書。2008年11月20日、アメリカの中央情報局(CIA)など16の情報機関で構成される国家情報会議(NIC National Intelligence Council)が発表した。それによれば、2025年においても、アメリカは最も強力な国であり続ける可能性が高いが、その支配力は相対的には低下し、中国やインドの台頭で世界は多極化する。とくに中国は、世界第2位の経済大国となり、今後20年間に最も影響力を増す国となる。第二次世界大戦後に築かれた世界秩序は解体し、新しい秩序に移行するまでの間、世界は不安定化するという。また、新興国の経済成長や地球温暖化によって、エネルギーや食料の問題が深刻化する危険性も指摘されている。日本については、現状の「中の上」程度の国際的地位を維持するが、外交的にはアメリカと中国の動向に左右されることになると予測。内政面では、自由民主党支配の構造が完全に終焉する可能性が高いとしている。NICによる世界情勢予測の報告書の発表は1997年以来、これで4回目だが、アメリカの支配力が低下するとの記述が盛り込まれたのは初めて。