日本と韓国の有識者が集まり、両国関係や国際政治・経済について、両国の政府に政策を提言するプロジェクト。2008年4月に日韓首脳会談で実施に合意し、09年2月に発足した。日本側の座長を慶応義塾大学の小此木政夫教授が、韓国側の座長をソウル大学の河英善(ハ・ヨンソン)教授が務め、両国合わせて20数人の有識者が、「国際政治」「国際経済」「日韓関係」の3分科会で議論を続けてきた。10年10月22日、同プロジェクトが報告書「『日韓新時代』のための提言―共生のための複合ネットワーク構築」を発表。日本の韓国併合がもたらした「多大の損害と苦痛」に触れ、こうした歴史の事実を直視しつつ、ともに新しい未来を開拓すべきだとして、両国の政府、地方自治体や企業、NGOなどが多様な領域で協力する「複合ネットワーク」の構築を提唱。これによって両国が東アジアと世界の平和と繁栄を推進するべきだとしている。具体的には、日韓自由貿易協定(FTA)の推進や、北九州と釜山・馬山地域を結ぶ日韓海底トンネル構想の研究などを提案しているほか、東・南シナ海の海洋秩序についての中国との対話の推進など、安全保障での協力強化を盛り込んでいる。