古代の遺跡や沈没船など、海底に眠る文化財を保護するための条約。2001年11月に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の総会で採択され、08年10月、中米のバルバドスが批准し、発効に必要な20カ国に達したのを受けて、09年1月2日に発効した。「100年以上、部分または全体が水中にあった、文化的、歴史的、考古学的な人間存在の刻印」を水中文化遺産と定義、公海の海底にある遺跡や船などを対象に、その場所に最も近い国が調査や保護を行うと規定している。陸上の文化遺産と異なり、水中文化遺産には保護に関する国際的な取り決めがなく無法状態で、沈没船から財宝を引き揚げた業者と関係国政府が裁判で争うようなことも起きたりしていた。今回の発効で、世界遺産条約、無形文化遺産条約などと合わせて、ユネスコの文化遺産保護体制が整ったことになる。ただし、現時点で批准した国はヨーロッパや中南米、中東などの小国が中心で、日本や韓国、中国、アメリカなどは批准していない。日本には、海や湖沼に遺跡がある市町村は229(00年、文化庁アンケート)ある。