国連教育科学文化機関(UNESCO ユネスコ)が実施する事業「生物圏保存地域」の通称。自然と天然資源の合理的な利用と保護のための科学的研究を行う、ユネスコの「人間と生物圏計画(MAB計画)」の一事業で、1976年に始まった。同機関が指定する「世界自然遺産」では、手つかずの自然の保護を目的としているが、ユネスコエコパークでは自然と人間社会の共生の実現が目的。(1)自然の保全、(2)経済と社会の発展、(3)学術的支援、の三つの機能をすべて備える地域が登録の対象となる。ユネスコエコパークの指定を受けた地域は「ユネスコエコパーク世界ネットワーク」に登録され、自然保護などに関する地域の取り組みを世界にアピールすることが可能。観光客の増加などが期待できる。2011年7月時点で登録総数は114カ国、580地域。日本では1980年に、屋久島、大台ヶ原・大峰山、白山、志賀高原の4地域が登録されている。12年7月、MAB国際調整理事会は、日本最大規模(約1万4580ヘクタール)の照葉樹自然林を有する宮崎県綾町とその周辺地域(綾地域)のユネスコエコパーク登録を決定。同地域の、森林生態系の保護や復元などを目的としたプロジェクトや、有機農法を推進する取り組みなどが評価された。