アメリカの核戦略、核政策、核軍縮政策の基礎となる指針。5~10年間の方向性が定められる。日本語では核戦略体制見直し、核戦略見直しなどとも表記される。2010年4月6日、アメリカ政府は02年以来となる新たなNPRを公表した。オバマ大統領が掲げる「核のない世界」を反映させ、安全保障の利益を追求しつつも核の軍事面での役割を大きく縮小させる点、初めて核不拡散と核テロ防止を最優先課題とした点、NPT(核拡散防止条約)順守の非核保有国への核兵器不使用を宣言した点、などが特色とされる。そのおもな骨子は以下の通り。(1)核拡散と核テロを差し迫る脅威と規定し、世界的な核不拡散体制の強化やテロ組織、支援国家の責任を追及する。(2)核兵器の役割はアメリカと同盟国への核攻撃の抑止(核の傘)が目的で、核兵器を持たずNPTを順守する国家には核兵器を使用せず、生物化学兵器による攻撃には通常兵器で反撃するなど、核兵器以外の攻撃抑止としての役割は縮小する。(3)ICBM(大陸間弾道ミサイル)、潜水艦発射弾道ミサイル、戦略爆撃機からなる戦略的な抑止力を維持するとともに、ロシア、中国との安定して透明な戦略的関係構築のための2国間対話を追求。(4)核兵器の使用は極限的な状況にある場合にのみ検討し、地域の抑止力は、軍の前方展開、ミサイル防衛など、核兵器以外の要素で強化を図る。(5)新たな核弾頭は開発せず、核実験も実施しないが、科学技術や科学者の水準を維持し、効果的な保有戦力の維持を図る。