2012年1月30日に開かれた欧州連合(EU)首脳会議で合意された、ユーロ導入国などの財政健全化を強化するためのEUの新条約。EU加盟27カ国のうち、イギリスとチェコを除く25カ国が締結に向けて合意した。財政破綻に瀕し、ヨーロッパ債務危機を招いたギリシャのような国を出さないため、新条約の加盟国には、財政赤字をゼロとする「均衡財政」を憲法や国内法で義務づけ、これを怠った国には、EU司法裁判所が制裁金の支払いを命令できる。財政赤字の国内総生産(GDP)比は、現行3%以内だが、新条約では0.5%と厳しくなる。また、前倒しにして12年7月に設立する欧州安定化メカニズム(ESM)の支援対象は、この新条約を批准した加盟国に限定するとしている。EU加盟国の財政規律強化をいっそう推し進めるための条約だが、中・東欧など非ユーロ圏の扱いは調整が続いているほか、深刻な経済危機など「非常時」には財政赤字ゼロを達成しなくてもよいとする例外条項も含まれている。新条約は12年3月1~2日のEU首脳会議での署名を経て各国が批准して発効する。