世界金融の中心地であるアメリカ、ニューヨーク市のウォール街周辺で、経済格差の是正などを訴える大規模な抗議運動のこと。反格差社会デモとも呼ばれる。2011年7月13日、カナダの雑誌「アドバスターズ」が、ブログ上で「オキュパイ・ウォールストリート(ウォール街を占領せよ)」と名づけた抗議デモを提唱したのが発端で、デモ初日の9月17日には、1000人以上が参加した。その後も、アラブ諸国で民衆蜂起が相次いだ「アラブの春」をモデルとして、ツイッターやフェイスブックなどを通じて若者を中心に賛同者が増加。10月1日には、ブルックリン橋で座り込みなどを行い700人以上が逮捕され、同月5日には、労働組合なども加わり、デモ参加者が1万人を超えた。アメリカでは、人口の1%にあたる富裕層が、国民所得の約20%を占めている一方、EU(欧州連合)統計局によると25歳未満の失業率は17%を超え、経済格差の拡大が問題視されている。抗議デモでは、「わたしたちは99%」などのスローガンを掲げ、ウォール街近くのズコッティ公園(通称自由広場〔リバティー・プラザ〕)を拠点に、座り込みやデモ行進などを行っている。10月上旬には、首都ワシントンやロサンゼルス、ボストン、シカゴなど、全米各地にデモが波及した。