2008年11月26日、インド最大の都市ムンバイ(旧ボンベイ)で起こった同国史上最悪のテロ事件。同日夜、10人で構成される武装集団がゴムボートで上陸し、ホテル、ユダヤ教施設、駅、病院、カフェなど、市内10カ所以上をライフルと手投げ弾を使って襲撃した。このうち、高級ホテル「タージマハル」「トライデント」とユダヤ教施設では、宿泊客やユダヤ教指導者などを人質にとって立てこもり、3日後の同月29日に、治安部隊によってようやく制圧された。30日、ムンバイ警察当局が、パキスタンに拠点をもつイスラム過激派組織で、カシミール問題をめぐってテロに関与してきた「ラシュカレ・タイバ」による犯行と断定し、インド外務省がパキスタン駐印大使に抗議。12月7日、事件を受けてパキスタン治安当局が同組織系の組織の拠点を襲撃、幹部らを拘束した。インド内務省の12月5日の発表によれば、テロによる死者は、日本人1人をはじめ外国人十数人を含む163人、負傷者は293人にのぼる。