「アラブの春」は中東から北アフリカにかけて広まった民主化運動のこと。長期独裁政権に反発した市民が民主化、自由化を求めた民衆運動は、2010年12月~11年1月のチュニジアのジャスミン革命に端を発し、同国のベンアリ政権崩壊につながった。運動はエジプトに飛び火し、2月には大規模な反政府デモの結果、ムバラク政権が崩壊、その後、リビアやシリア、イラン、バーレーンへと反政府デモは広がっている。「春」は、1968年に当時共産圏だった旧チェコスロバキアで起きた民主化「プラハの春」に由来する。2011年5月26~27日にフランスのドービルで開催されたG8サミット(主要国首脳会議)では、首脳宣言とは別に、G8が一致して民主化運動を支える姿勢を明確にした共同宣言「アラブの春に関するG8宣言」が採択された。宣言は、地域の改革を「ベルリンの壁崩壊」になぞらえ、世界の政治・経済の安定につながるとして、民主化の連鎖に期待を表明するとともに、政治的・経済的に支援する姿勢を明確にした。「ドービル・パートナーシップ」はそのために設立された枠組みで、政治改革と民主化移行のための統治改革の育成など政治的支援と、持続的経済成長に向けた経済的支援を柱とする。また、民主化を進めるチュニジア、エジプトに対しては、総額約200億ドルの経済支援パッケージが組まれた。