1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故を踏まえ、世界の民生用原発の安全性確保のため、96年に発効した国際条約。正式には原子力の安全に関する条約という。事務局はオーストリアのウィーンにある国際原子力機関(IAEA)本部に置かれている。2012年9月時点で75の国や国際機関が加盟しており、日本は条約発効時から参加。原発保有国ではイランのみ条約を批准していない。加盟国・機関は、条約履行のため取った措置について報告書を提出し、3年ごとに開かれる検討会合で相互評価を行う。また、特別会合が開かれることもあり、12年8月27~31日には、東京電力福島第一原発事故を受けて、ウィーンで第2回特別会合が開催された。会合では、日本が福島第一原発の現状や事故の原因調査、安全対策の実施状況などを報告したほか、14年に予定される次回検討会合に向けて考慮すべき点として、「規制当局の独立性確保」や「透明性の強化」などを確認。このほか、条約の強化を検討するためのワーキンググループ設置などについて合意した。