アメリカ政府が国防総省に対して予算権限を与える法律。当該会計年度より5年間にわたり特定の事業計画に対する支出について権限が与えられるもので、年度ごとに制定される。2011年12月31日、2012会計年度(11年10月~12年9月)の国防権限法が、バラク・オバマ大統領の署名により成立。同法には、核兵器開発の疑いがあるイランに対して、同国の収入源である原油輸出に打撃を与える制裁措置が盛り込まれた。それにより、イラン産原油の輸入代金決済などでイラン中央銀行と取引を行う第三国の金融機関は、アメリカの銀行との取引が禁止される。ただし、原油価格の高騰や原油不足などの影響を考慮し、イランからの原油輸入を大幅に削減した国の金融機関については、制裁対象から除外するほか、アメリカ大統領が、同国の安全保障上不可欠と判断した場合には、最大4カ月間制裁を停止する。制裁適用外とする金融機関は、同法成立90日以内に決定され、同180日で制裁を発動する。また、同法では、在沖縄海兵隊のグアム移転経費としてオバマ大統領が要求していた1億5600万ドルについて、海兵隊移転の前提となる普天間飛行場移設の進展がみられないことや、インフラ整備の遅れなどを理由に上院が反対し、全額削除された。