国連海洋法条約に基づき、同条約の締約国によって構成される国際組織。いずれの国の管轄権もおよばない区域の海底など深海底資源の管理を主な目的とし、1994年に設立、ジャマイカの首都キングストンに事務局を置く。国連海洋法条約は、領海や排他的経済水域、公海、深海底などについての国際的なルールを定め、国際海底機構や国際海洋法裁判所の設立などの規定を含む、海洋についての包括的な国際法。94年に発効し、2011年6月時点で162の国・地域が締結している。同条約において、深海底資源は「人類の共同財産」であると規定されており、国際海底機構がその管理を行う。同機構では、申請のあった深海底資源の開発にあたって、開発を希望する各国への鉱区の割り当てなどを定める「概要調査及び探査に関する鉱業規則(マイニングコード)」を鉱床ごとに採択している。これまでにマンガン団塊と熱水鉱床のマイニングコードが採択された。11年7月、東京大学の加藤泰浩准教授らの研究チームが、ハワイ付近の中央太平洋とフランス領タヒチ付近の南東太平洋の広い範囲で、海底の泥の中に大量のレアアースが存在することを発表。レアアースを含む泥は、水深3500~6000メートルの海底にあり、その厚さは、南東太平洋で平均8メートル、中央太平洋で平均23.6メートルとみられている。2つの海域を合わせると面積は、約1100万平方メートルとなり、推定埋蔵量は、陸地の埋蔵量1億1000万トンの1000倍におよぶ。開発の障害となる放射性物質などを含まず、海底の泥を吸い上げるだけで採取することができ、短時間で泥からレアアースを抽出することができるという。発見したレアアース資源泥の大部分は公海に属するため、開発にあたっては、同機構で鉱床として認められ、マイニングコードが採択されなければならない。