日本が固有の領土とみなしている北方四島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島)に住むロシア人と日本国民が、相互理解の促進のために、主権の問題を棚上げして、パスポート、ビザをもたずに互いに訪問する仕組み。正式名称は北方四島交流事業。1991年に旧ソ連のゴルバチョフ大統領が提案し、92年に始まった。日本側から北方四島に行くことができるのは、元島民と家族、北方領土返還要求運動関係者、報道関係者、各分野の専門家と、通訳や医師などの同行者。92年度から2008年度までに、日本側からのべ8853人、四島側からのべ6691人が訪問した。ビザなし交流のほかに、元島民の墓参や自由訪問、人道支援事業などでも、ビザなしの渡航が認められている。09年2月27日、国後島に到着した人道支援訪問団に対して、ロシアの国境警備当局が出入国カードの提出を要求した。これまでは、身分証明書と「挿入紙」と呼ばれる資料を携帯していれば、四島への入域を認められてきたため、日本側は提出を拒否。訪問を断念して北海道に戻った。ロシア側は、ビザなし交流などに対しても、出入国カードの提出を求める可能性があるとしており、今後の交流への影響が懸念されている。