大量破壊兵器や小型武器などを除く、戦車や戦闘機、軍艦などの「通常兵器」の輸出入や移譲に関する国際基準を定めた条約。日本政府はイギリスやオーストラリアなど6カ国とともに、実現に向けて取り組んでいる。核兵器や化学・生物兵器などには開発や生産、流通、使用に関する条約や規制があるが、通常兵器は自由に取引されているため、紛争地への輸出など、人道上、重大な侵害行為に使われる恐れがあっても、国際的な規制ができない。ATTへの議論は、1990年代後半から有識者やNGOの間で広がり、2006年には国連で専門家会合の立ち上げが決議され、08年には28カ国による専門家会合を3回開催、さらなる議論を求めて作業部会の設置が国連総会において決議された。先進国で唯一、武器輸出を禁じている日本は、決議の原提案国に連なるなど推進の立場をとっている。09年2月にアジア太平洋地域会合が開催され、3月と7月にはニューヨークの国連本部で作業部会が開催される。