太平洋のミクロネシア、マーシャル諸島に属する環礁。環礁とは、太平洋やインド洋にみられる環状となっている珊瑚礁(さんごしょう)のことで、環状の中は湖水状の海となっている。1947年にミクロネシアはアメリカの国連信託統治領とされたが、それに先立ってアメリカはすでにビキニ環礁を核実験場としており、46年7月から58年まで12年間にわたって67回の核実験が行われた。54年3月1日に、付近の海域で操業をしていた日本のマグロ漁船が水爆実験に巻き込まれて死の灰を浴びた第五福竜丸事件が起きたことから、ビキニ環礁は核実験場として世界中に知られることとなった。2010年7月31日、国連のユネスコ(国連教育科学文化機関)は、ビキニ環礁を世界遺産(文化遺産)に登録することに決定したと発表。自然遺産ではなく文化遺産としたのは、ビキニ環礁を「核実験の威力を伝える極めて重要な証拠」と指摘し、広島の原爆ドーム同様、核兵器の被害を後世に伝える負の遺産として登録されることとなった。