2010年1月31日に公表された、日本と中国の歴史研究者による、初めての歴史共同研究の報告書。日中交流を主なテーマとして3部6章に分かれた「古代・中近世史」と、1931年から45年にかけての日中戦争、太平洋戦争を中心に、戦前、戦中、戦後の3つの歴史的段階に分けた「近現代史」との二部構成、計約550ページとなっている。各テーマについて日中両国の研究担当者の論文が併記されたが、「近現代史」の「戦後から現在まで」の部分は今回の報告書には含まれなかった。また、南京大虐殺(37年)の犠牲者数、従軍慰安婦問題、細菌研究の特殊部隊「七三一部隊」などについて、両国研究者の認識の隔たりは埋まらなかった。歴史共同研究は、2006年10月の安倍晋三首相(当時)と胡錦濤国家主席との首脳会談で発足が決まったもの。「歴史の直視と未来志向」の精神に基づき、冷静で学術的な研究を通して、両国民の歴史認識における対立感情を和らげ、友好関係を深化させることが目的とされた。日中それぞれ10人ずつの研究委員と27人の外部執筆委員とが3年間にわたり行ってきた今回の共同研究はこれで終了するが、歴史共同研究は継続される方針。