フランスのカンヌで2011年11月3~4日に開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議で首脳宣言とともに採択された、各国が今後とるべき経済政策をまとめた取り決めのこと。正式には「成長と雇用のためのカンヌ・アクションプラン」。今回のG20では、ギリシャ財政危機がイタリア、スペインなどほかの南欧諸国に波及し、ユーロ圏全体、ひいては世界経済に深刻な影響が出ることへの危機感が強かった。行動計画は、世界の成長が弱まり、一部先進国の公的債務が不確実性を増していると指摘。各国がそれぞれ異なる状況にあることを考慮しつつも、財政健全化や景気回復のための明確で具体的な取り組みを実行するとした。具体的には、イタリアは10年現在GDP(国内総生産)比4.6%の財政赤字を13年までにほぼゼロとすること、アメリカは公共投資や税制改革、雇用措置などにより景気回復を維持すること、日本は中期的な財政健全化を確保しつつ、震災復興のための19兆円(GDPの約4%)の財政措置を実施すること、などを挙げた。また、ロシアの市場メカニズムを取り入れた外国為替制度の変更と、中国の為替レートの柔軟性を向上させるという決意を歓迎した。さらに中期的な成長基盤強化のため、ドイツは民間の消費と投資を促進する取り組みを実施すること、日本は10年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げることと、そのための法案を11年度内に提出すること、アメリカは財政改革により10年間で4兆ドルの財政赤字削減をもたらすこと、などが明記された。