アメリカ連邦政府の財政再建策と、債務の上限額引き上げの2点を柱として、2011年8月2日に成立した財政健全化のための法律。連邦債務は法定上限額の14兆2940億ドル(約1115兆円)に達しており、新たな国債発行ができないため、8月2日までに上限額が引き上げられないと、アメリカ国債がデフォルト(債務不履行)に陥る危機に直面していた。この法によると、今後10年で少なくとも2兆1000億ドル(約163兆円)の債務上限引き上げを可能にすると同時に、第1段階で1兆ドル、第2段階で1兆5000億ドルの計2兆5000億ドル(約195兆円)と、ほぼ同額の財政赤字を削減し、歳出も9000億ドル(約70兆円)強、削減する。増税は行わず、超党派の委員会を新設して、11月下旬までに追加の財政赤字削減策をまとめ、上下両院で議決する。削減が不十分な場合には、強制的に歳出削減を行う仕組みも導入する、としている。デフォルトは瀬戸際で回避されたが、オバマ大統領の経済政策と議会の混乱に対して市場の不安が高まった。8月5日には、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、1941年の制度開始以来初めて、アメリカ長期国債を最上位のトリプルAから1段階下のダブルAプラスに引き下げる事態となった。