2009年11月10日に第51次南極観測隊員を乗せて昭和基地に向けて初出航した、日本の新しい南極観測船。海上自衛隊所属の砕氷艦で、観測隊員以外の乗組員は海上自衛官。「宗谷」「ふじ」「しらせ」に次ぐ4代目で、基準排水量は約1万2650t(旧「しらせ」は約1万1500t)、船体の長さ138m、幅28m、深さは15.9m。厚さ1.5mの氷を3ノット(時速約5.6km)の速力で砕いて航行できる、世界屈指の砕氷能力をもつ。新「しらせ」は、船首から海水を排出して氷との摩擦を減らす散水装置や、船体表面をステンレスで覆うことにより燃費を向上。また、新設した廃棄物処理室には焼却炉があるほか、生ごみをたい肥にする装置などもあり、約5カ月の航行の間、船外にごみを捨てずにすむ。さらに、汚れた水は浄化して排出する、万一事故が起きても燃料が流出しないよう燃料タンクを二重構造にするなど、環境に配慮した最新鋭のエコ・シップとなっている。建造費は約380億円で、全地球測位システム(GPS)やレーダーを使った電子海図装置をはじめ、最先端の技術が用いられている。なお、1982年に就航し、2008年に引退した旧「しらせ」は、民間の気象情報会社「ウェザーニューズ」が購入し、「SHIRASE」として10年秋に船橋港に係留、公開される予定。